そのプレゼント、プライスレス
彼女の手が徐々に汗ばんできて、緊張が手にとるように伝わる。
積極的な割に、彼女はいつも緊張している。
きっと、彼女なりに凄く勇気を出しているんだと思う。
「――あ、あのね」
口を開いた彼女が立ち止まり、俺を見上げる。
「………っ、」
何かを言いかけて、また俯く。
「え、なに?」
俺が聞くと、また少し間があいて、ようやくまた顔を上げた。
ゆでだこみたいに真っ赤という表現が、これほどまでに適切な人間は、今の彼女以外いないと思う。
そんな彼女は、真っ赤な顔で、
「…た、誕生日、
……あ、愛、欲しいなぁ…」
と小さく言って、また俯いた。
「…え? 俺の?」
「―――っ、」
俺の問いに、彼女は繋いでいた手を離して、足速に俺の先を歩いた。
――無言は、肯定、かな?
さっきの彼女の言葉を反芻して、なんだか胸の疼きが再燃した。
――これは、ちょっと、やばいかも。
俺は、
彼女に追い付いて、
彼女の名前を呼んで、
後ろから、
きつく、抱きしめた。
(ねえ、どうすれば、愛をあげたことになるの?)
*そのプレゼント、プライスレス*
曖昧シリーズですが、今回は98%妄想です(笑)