この壁の向こう側【BL】
「さっきからドンドンドンドン煩いんだよ!」
そう怒鳴ってくる彼の顔には、
涙の痕が浮かんでいて、
目元も未だ、滲んだままだ。
「ごめんね、
君を泣き止ませたかったんだ」
どうすればいいのか解らないけど、
とにかく傍へ、行きたかったんだ。
「なら堂々と玄関から来いよ!」
「でも君は泣いているだろ?」
泣きながら、怒っている。
どうやら僕の顔を見ると、
どちらの感情も増えてしまうらしいから、
だから堂々と姿を見せる訳にはいかなかったんだ。
なのに、傍に行きたくてたまらない。
この思いはなんなのだろうか。