この壁の向こう側【BL】
人間は、嬉しい時にも泣くものか。
新しく覚えた事を、
忘れないよう記憶する。
これは、大事な事だ。
彼を解っていく為にも。
僕は、作られた生物だ。
だから、彼の求める
誰かそのものにはなれないけれど、
だけど新しい、その場所を埋める事は、
僕にでも出来ないのだろうか。
この顔を見て怒って、悲しんで、泣いて、
だけど喜んで、少しでも笑ってくれるなら
何処かに残る、誰かの記憶の、
彼のとても綺麗な笑顔を、
いつか見る事は出来ないのだろうか。