この壁の向こう側【BL】


「どうすればいい?」

たくさん、僕の中にあるはずなのに。

だけど上手く、探し出せない。
それはきっと、やっぱり僕だから。


「傍に居ろよ」

彼はそう言った。


それを聞いたら、
僕の中の誰かが、僕に教えてくれた。


「今度は絶対、離さないから」

そう言って、目を細めて、口角を上げる。


きっと彼の見慣れていた、
誰かの表情なんだろう。

それを見て、彼はまた、涙を流す。



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