【短編】君のカケラ
前に出した足が、柱の影に隠れる。
その瞬間、シュンッという音と共に、空の短い悲鳴が部屋に響く。


「ひゃあ!」


「空!?」


苦悶の表情を浮かべる空。
膝を抱える空の手。その先に視線を向けると右足の膝から下、ちょうど柱の影に隠れた部分が綺麗に消えていた。



ゾクッ、とする感覚。
目の前の存在が消えていく自覚。



ここにきて、全身を、心を“恐怖”が支配した。
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