【短編】俺とアイツ
煮え切らない思いが渦巻き、俺は体を起こした。
「…祐介?」
「うるせぇ」
冷たくあしらい、アイツを見下ろす。
真ん丸い瞳が俺をじっと見つめていた。
「――――――…っ」
“俺もキライだ”
そう紡ごうとした口をゆっくりと閉じて、代わりに笑った。
「まだ寝てろ」
言えねぇよ。
何だよ、俺。
ヘタレかよ、バカヤロー。
心の中で自分を叱責する。
「昨日、無理させちまったからな」
けどさ。
飄々としてるけど、俺がキライだって言ったら、きっとアイツは傷つくんだろうな。
ほんと、勝手なヤツ。
俺には言うくせにな。
俺だって傷ついてるっての。