【短編】俺とアイツ
「…祐介」
「ん?」
「キライ」
「……」
お前はこの場面でも言うのか、コノヤロー。
「…俺も」
だけど、コイツらしい。
無意識にこぼれる笑顔をそのままに、俺は愛しいコイツを見つめた。
「…キライ」
「…俺も」
「祐介なんて、キライ」
「俺も」
「キライ」
「俺も」
「“ダイスキ”」
「俺も…………って、は?」
機械的に返していた俺は、最後の言葉に思わず聞き返した。
今、何て言った?
目をパチクリとさせる俺の目に映ったのは、アイツの勝ち誇ったような顔。
その瞬間、俺はすべてを悟った。
あー。
くそ、やられた。