【短編】俺とアイツ




「うるせぇな」




キライなら、んなことすんなよ。


俺だって男だ。


そんなことをされれば、嫌でも性欲が沸いて来る。




「だって、ほんとだもん」




それに…


何てったって、俺はコイツに惚れてる。


惚れてる女に触れたいと思うのは、仕方ねぇだろ?


だが、コイツの思うままに動くのは癪に障る。




「…うるせぇ」




冷たい声でそう告げれば、アイツは満足そうに微笑んだ。


あー、またか。




「祐介、キライ」




するりと絡めていた腕を離し、アイツは俺に背を向けた。


アイツのふわりとした茶色い髪が揺れる。
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