【短編】俺とアイツ
チッと舌打ちをし、アイツの細い手首を掴んだ。
少しでも力を入れたら折れちまいそうだ。
そう思いながらも、無理やりにアイツを引っ張った。
ぽすんと倒れてきたアイツの体を抱きしめ、首筋に顔を埋めた。
「…っん」
唇を当て、いつもより強く吸い上げれば、アイツは小さく体をよじらせた。
逃がすかよ…
ソファの上にアイツを押し倒し、ゆっくりと上に覆いかぶさった。
組み敷かれたアイツは薄く笑い、俺の名を呼ぶ。
「祐介…」
その声に引き寄せられるように、俺は唇を寄せた。
何度も何度も角度を変えながら、より深くアイツを搦め捕る。
あー。
結局、コイツの思う壷だ。
甘い吐息を漏らすアイツを見つめながら、そんなことを思った。