【短編】俺とアイツ




そんな時。




「…ん。祐介ぇ?」




下の方から声がした。


視線を落とすと、アイツはしぱしぱと瞬きを繰り返している。




「…悪い。起こしたか?」




俺が腕を抜いたからか?


そう思った俺は咄嗟に謝った。


するとアイツはふわりと笑い、俺に目を向けた。




「いいよ…あたしこそごめんね。重かったでしょ?」


「いや」




首を振ると、アイツはまた笑った。




「嘘だ。痺れてるくせに」




そう言ってアイツは、俺の腕に手を伸ばした。


触れた瞬間ピリッと電撃が走り、思わず顔をしかめる。


そんな俺にアイツはもう一度謝ってきた。
< 6 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop