【短編】俺とアイツ
そんな時。
「…ん。祐介ぇ?」
下の方から声がした。
視線を落とすと、アイツはしぱしぱと瞬きを繰り返している。
「…悪い。起こしたか?」
俺が腕を抜いたからか?
そう思った俺は咄嗟に謝った。
するとアイツはふわりと笑い、俺に目を向けた。
「いいよ…あたしこそごめんね。重かったでしょ?」
「いや」
首を振ると、アイツはまた笑った。
「嘘だ。痺れてるくせに」
そう言ってアイツは、俺の腕に手を伸ばした。
触れた瞬間ピリッと電撃が走り、思わず顔をしかめる。
そんな俺にアイツはもう一度謝ってきた。