【短編】俺とアイツ




何だよ。


何でそんなに謝んだ。


あんまり謝られていい気はしない。


それ以上謝罪の言葉は聞きたくなくて、俺は無理やりアイツの唇を奪った。


柔らかい唇を堪能すると、さっきまでのイライラなんて跡形もなく消え去った。


呼吸をしようと薄く開いたアイツの唇に、強引に中に割って入った。


熱いアイツの舌を搦め捕り、何度も唇を奪う。


頭の奥が靄(もや)がかかったように白くなり始めたのを期に、ゆっくりとアイツから離れた。




「っハァ…」




俺が離れた瞬間、大きく息を吸い込んだアイツに思わず苦笑する。


…ちょっとやりすぎたか。




「大丈夫か?」




涙目になっているアイツの頬を撫でる。


瞼の下に指を当て、ゆっくりと涙を拭ってやると、アイツは笑った。
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