農園の食卓

さよならを言わないまま

「いやぁ~ありがとうございましたぁ~」

「では、この書類にサインを、困りますなぁ~ほとんどスクラップに近いⅣ型だ、早速回収し廃棄処分にします、良いですか?次からは迅速に手続きをお願いしますよ」

農園主は意味がわからないらしい。

僕とドクターは思わず吹き出した。

「え?なんですか?あの測量基準点にするって?え?」

「まあ、バーでフォークでも咥えながら話すことにしましょう、あなたのⅣ型を彼と組み立てるのに、どれだけ大変だったかってことをね」

「そうそう、いろいろと部品を探すのに大変でしたよ、しかしⅣ型はあれですね、部品が無くても結構動くもんですね」

ドクターのピックアップには、ミィ~のスペアパーツで組み上げた、でっち上げのⅣ型が積み込んである。

肝心の頭部だけはどうしようもない。

なんせ彼女は僕が到着する以前に、収穫用のコンポーザーに巻き込まれたことになったのだ。

僕はもう一度振り返った。

サトイモ畑の中で、彼女は遠くを見つめたまま動かない。

彼女が何処を見つめているのか解き明かすことは、ないだろう。



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