好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
不意にそう思った私は、待つのを止めた。

走りもせず。

ただ、濡れながら歩いて帰った。

心が寒いのは、雨のせい。

雨が全て悪い。

そう、思う事にした。

責めない。

けど、別れる。

なかった事にして笑っても、心がポキンと折れてしまう気がする。

責めたら、戻れないんじゃないかと思って。

だったら…何も言わず別れた方が、良い気がするんだ。

傷が浅くて済む気がした。



「バイバイか…」



会社で会うと、気まずくなるのかな…。

目も合わせれなくなったら、夜は泣いちゃうかも知れないな…。




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