好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
悪魔とお別れ
翌日、風邪を引きながらも、歩斗と話もしたい為、出勤した。
マスクをし、厚手のカーディガンを着た私に、嵯峨さんと課長が声を掛けて来てくれた。
「昨日…雨で…」
言葉の一つ一つに濁点が付きそうな位、喉がイガイガする。
「いっぱい降ってたからね。
無理しないで、辛かったら早退するのよ?」
「はい…」
デスクに鞄を置き、「おはようございます」と、隣に居る歩斗に声を掛けた。
「おはよう。外周りは俺1人で行くから、お前は午前で上がれ」
「うちで待ってて良い」と小声で付け足し、マンションの鍵を渡して来る歩斗。