好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
歩斗と別れようと決めてる事に、気付いてるみたいな気がした。



「行きません…。歩斗の事が…好きじゃなくなる…までは…」



だから、ハッキリ言う。

この先は、同じ過ちは繰り返さない。

好きな人。

私はもう傷付けない。

歩斗。

貴方は…?

定期はもう良い。

母親も出掛けてるだろうし、タクシーで帰るとする。

「お先に失礼します」と、課長に声を掛けて給湯室を出た。



「ひま」



エレベーターの前。

歩斗に遭遇した。

言おう。

…言うんだ。

深呼吸をして、歩斗を見た。

私は何も知らない。
< 114 / 201 >

この作品をシェア

pagetop