好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
「時間はありますか?」



「はい…」



「じゃあちょっと、尿検査しましょうか」



「はぁ…」



何か重病な気がして来た。

不安でいっぱいになる私に、先生は「念の為だから大丈夫ですよ」と、笑って紙コップを差し出して来た。

…“大丈夫”って;;

まぁ、大学病院に回されず、採血もしないなら、そこまで重病な気もしないけど…。



「何。もう終わったの?」



ロビーに待つ母親が、声を掛けて来た。

私は「尿検査」とだけ答えて、トイレへと行く。

はっきり“生理の前兆”だと言えば良かった。

男の先生だからって、恥ずかしがるのが間違いだった。



< 121 / 201 >

この作品をシェア

pagetop