好きと言えない。―悪魔と恋―【完】



紙コップも出したし、後は結果を待つだけ。

母親と会話もなしに、雑誌を読み漁ってると、30分ほどで呼ばれた。

しかも、母親も一緒に。



「重病だったりして…」



「親を脅かすの止めなさい!」



心構えのつもりだったのに、まさか怒られるとは。

2人で診察室に入ると、母親がぶつかって来て、私は転びそうになりながら、椅子の前に回って、腰を下ろした。



「検査の結果ですが―…」



「大丈夫です。覚悟は親として、ちゃんとありますから」



さっきは“脅かすの止めなさい!”と言ったくせに、母親は鼻息を荒くしながら、先生をジーッと見つめた。
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