好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
5分もしない内に、電話は繋かって来る。



「はい」



『ごめんね。話をする前に止めちゃって』



「いえ…こちらこそすいません。わざわざ」



『俺は気にしてないよ?』



「ありがとうございます…」



私は遥斗さんに、妊娠の事は言わないまま、「歩斗は幸せに笑ってますか?」と訊いた。



『幸せかどうかはわからない。
けど、彼女は出来たらしいよ。
ごめんな…節操ない兄貴と付き合わせて』



「良いんです…私は…」



胸が痛んだ。

他に出て来る言葉もなく、電話を切った。

でも、彼女が出来たなら、幸せだよね?

そう、私は信じるよ。




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