好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
野菜も投入し、グツグツと煮立つのを待つ私に、枝玲奈が笑った。



「どうしたの?;;」



「ううん…一つだけ思い出した事があって」



「え、何??」



私より食い付いたのは、柊お兄ちゃん。

枝玲奈は鞄から、携帯を出して、私たちに待ち受けを見せた。



「これ、多穂ーカズホーとの」



「可愛い子じゃん!でも会った事ないな」



「アメリカに行ってしまったんです。元々、クラスでイジメに遇ってた子で、ひまわりが助けたんです。“先生たちが見てなくても、私が見てた。良い子を演じてても、私には悪いヤツとしか映らない”…そう、言って」



そんな事もあったっけ。

あの時、私が何を言ったからって、変わらないとも思ったけど。
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