好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
お父さんが敷いてくれた布団の上で、唸る私に、お母さんは「大変ねぇ」と、呑気に言う。

拳を床に叩き付けると、「家を壊さないでねー」と、また言われた。

お父さんは車のキーを持ち、私を支えようとしたけど振り払い、ハイハイで玄関を目指した。

触られると、どうにもイライラが増す。



「鬱陶しい――ッ!!」



お母さんに掴まって立ち上がり、靴を履く。

治まって来た為、背中を擦りながら車に向かい、額に浮かぶ脂汗を拭うと、暑苦しい車の窓を開けた。

冷たい風を浴びながら、病院に行くと、痛みはなく、まだ分娩室には入らず、入院予定の病室で待機。
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