好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
歩斗に電話をすると、まだ営業先に居るらしく、来れないみたい。

焦って事故に遭われても困る為、「ゆっくりね」と伝えて、電話を切った。

曰く付きの、歩斗と以前に別れた時に入院してた病室に、また入るとは。



「お腹は空いてない?」



「大丈夫ー…」



“ゆっくり”とは言ったものの、言わなきゃ良かった気持ちになる。

寂しくて、会いたい。

不安でいっぱいになる。



「あ…また…っ」



ベッド脇にしゃがみ込み、パイプ椅子を握る。

間隔が短くなってるせいか、もう痛みが途切れた感覚がない。
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