好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
代わり行く時代の中で、代わらないのは私の気持ち。

歩斗を、愛してる――…。



『武井さーん。そろそろ分娩室に移る準備しましょうかー』



ナースコールに呼び出されて、私はベッドから降りた。

歩斗に手を引かれ、助産師さんの案内で分娩室へ。

立ち会いは1人だけ。

もちろん、歩斗に来て貰った。

カーテンで仕切られた隣からは、旦那さんも誰も居らず、1人で出産する人の声がする。



「頑張ってねー」



「くぅっ…アルトが…別の女を…あの女を選ぶからぁー…ッ!!;;」



「「え?;;」」



私は必死に手を伸ばして、カーテンを少しだけ捲った。
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