好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
隣では産声が聴こえ、産まれたのだとわかる。

私は意識が遠退きそうになりながら、「くぅ…」と、身を捩った。



「2800グラムの、元気な男の子ですよ」



「あ、隣にパパが居るので、見せて下さい…」



「はぁ゛ッ!?;;」



今日だけは。

ましてやここで嘘は止めて欲しい。

紀香さんを担当してた助産師さんは、私に申し訳なさそうな顔をして、カーテンを開き、歩斗に赤ちゃんの顔を見せる。



「抱かれます?;;」



「何で赤の他人の俺が」



歩斗は眉間にシワを寄せながら、私の手を握ってる。
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