好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
…産まれた…。



「はぁ…良かった…」



嬉しさより、安心した。

流産しかけ、それでも耐えてくれた赤ちゃん。



「3200グラムの男の子。頑張ったわね」



助産師さんが、カメラ片手に現れた。



「記念すべき、初めての撮影ですから、笑ってね?」



「はい…っ」



歩斗と2人、頬に涙の痕を残したまま、赤い目でファインダーを覗いた。

スヤスヤと眠ってる赤ちゃんを、パパである歩斗の腕に移すと、いつものクールさはどこへやら。

今まで見た事のないような笑顔で、額をくっ付け、スリスリしてる。
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