好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
歩斗はソファーに座り、私に背を向けた。

歩斗の言葉は、別れを意味してるのだろうか。



「私は忘れ物してない…」



だとしたら、別れない。

忘れ物もない。

浮気をしたわけでもないのに、意味がわからないよ。



「じゃあ、捨てれば良いんだな」



私の中で、何かが切れた。

無理にでもすがるぞのを、止めようと思った。



「別れたいなら“別れたい”って言えば良いじゃない。確かに私は、木賀さんに何も言えなかった。
でも、気持ちはハッキリしてる。会えないと寂しくなるほど歩斗が好きだって…伝わってなくても。荷物、捨ててくれて結構ですから。ごめんなさい…こんな情けない私と付き合わせて…」



涙が溢れて、走ってマンションを出た。
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