好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
タクシーを捕まえる為に大通りに出た。

タクシーを見掛け、手を伸ばすと、「葛西さん?」と聞こえた。



「木賀さん…」



事に絡む木賀さん。

出来れば、こんな場面で会いたくなかった。

タクシーが私の横に止まる。



「この前、一緒にお店に行った人は彼氏じゃないんです…」



「ん…?」



「彼氏の弟なんです。振られちゃったけど…大好きな人の、弟なんです…ッ…」



今更、弁解をしても遅いとわかってるのに。

タクシーに乗り込み、出して貰った。

住所を言ってから、ハンカチで口元を押さえた。
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