好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
悪魔と両親
まさか。
我が家でヤるなんて。
まさか。
苛立つまでヤキモチを妬いてくれるなんて。
2人で服を着せ合いながら、またキスをした。
「お前。俺に襲わせて楽しいか?」
「つまらなくはないよっ」
歩斗のワイシャツのボタンを留めて立ち上がった。
ワイシャツと下着だけで立ち上がり、スカートを穿くと、「俺が大好きなんだもんな」と、聞こえた。
「え?」
大好きだけど。
何か、聞き覚えがある。
「俺はお前が泣いただけで、ここまで追い掛けて来るほど優しくはねぇな」
脱ぎ捨てたスラックスを穿き、シワを伸ばす歩斗に、私はタクシーを呼び止めた時の出来事を思い出した。