好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
耳を塞げ。

母親なら。

何て思ってたら、後ろに歩斗が立った。



「お邪魔してます」



「何よー、改まって。あっ君、いつも通りでいてよ!」



…“あっ君”??



「でもアザミさん。俺は今日、ひまの彼氏として来てるから」



…“アザミさん”?

名前で呼ばされてんの?



「それもそうよねー。ひまわりの彼氏になってくれたのね。あっ君、優しいんだからぁ!」



…あー、何コレ。

2人の会話には入らず、私はダイニングテーブルにあった唐揚げをつまみ食いしながら、ダイニングと繋がるリビングにある炬燵に入った。

年中、出しっぱなしなんだ。

スイッチを入れるのは、冬と春先だけ。
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