好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
「お父さんに言わないでよ?」



「卒倒しちゃうかも知れないからね」



「「髪の毛がなくなるんだよ」」



私と柊お兄ちゃんの考えが被る。

母親は「ハゲでも良いじゃない!」と、ブスくれた。



「おっさん、愛されてるよな」



歩斗が近付いて来て、私に耳打ちをした。



「ハゲがね」



小声ではなく、普通に言った私の前に、帽子を脱ぐ父親が現れた。

真顔で私を見て来る。

後ろに立つ伊吹お兄ちゃんは、吹き出しそうになるのを堪えてる。

…失礼なお兄ちゃん。

それは私もなんだけどさ。
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