好きと言えない。―悪魔と恋―【完】
本当は、本心かも知れないけど。



「結香ちゃんの妹さん、“好き”だって」



「眼中にねぇよ」



「キスしたくせに…」



「酔ってたし」



「じゃあ、私には倍して」



月明かりが歩斗を照らす。

見つめ合う目をそのままに、歩斗の顔を引き寄せた。

いっぱい。

溢れるほどキスして。

いっぱい。

飽きるほど触れて…。



「んッ――…」



贅沢な、愛を感じるキスに、私はとろけそうになる。

セクシーな歩斗の流し目は、私から逸らされない。

…好き。

心が叫ぶ。

悪魔に少しだけ意地悪。

口になんて出さない。
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