あい*こい
いや、本当はなぜか日和を自慢したくなって。
でも、俺以外の男に見せるのはもったいなくて。
何より、俺がそうしたくて。
「手くらい、いいでしょ」
「は、ハイ!」
手を繋いで、わざと俺の方に引き寄せて、くっついて歩く。
俺の肩にも届かない背丈の日和が、どんな表情かなんて知らない。
けど、耳は真っ赤だった。
フッと笑いが溢れてから、俺の心が満たされるのを感じる。
俺はそんな想いに戸惑いながら、日和を引っ張るようにして映画館に向かった。