あい*こい





頭の中で文句を吐いていた俺の耳に、突然、柔らかく透き通った声が聞こえた。


「大丈夫ですか…?」


声のする方を振り向くと、小さな女の子が立っていた。


盗み聞きかよ、なんて思ったけど、その子はゴミ箱を持っていた。


考えてみれば、ゴミ捨て場の近くだった。

告白の場所としては、どうかと思う。



ゴミ捨てなんて、場所が遠いから誰もやりたがらない。


面倒な仕事だから、俺もやりたくない。


そんなことをこの子はやって、しかも人が叩かれるところまで見てしまったのか…。


理不尽だ。
俺が告白を断っただけで叩かれたことくらい理不尽だ。




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