青春途上中〈3〉
「俺も行く」

珍しいものを見るかのように松橋は目を見開いていた。

「別に一人でも大丈夫だから伊崎は、ゆっくりしてろよ」

「てめぇは、家の事ばっかり構いやがって」

今、とてつもなく恥ずかしい事を口走ったんじゃねぇか。

俺は悪くねぇ、こいつが悪い。朝からロクに話もせずに家の掃除やら何やらするから。

「…今日の買い物、荷物多いから伊崎、一緒に行かないか?」

「仕方がねぇな」

唇を歪ませて笑う伊崎は何処か嬉しそうだった。





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