『若恋』玲央の初恋【完】
ポニーテールを結った娘は俺たちの数メートル手前で立ち止まり、迷う素振りを見せたが結局俺の前にやってきた。
玉木が言ったみたいに、なかなかイケてるじゃん。
「突然すいません。彼氏になってください!」
「は?」
叫ぶように告げられた一言に思わず、
目が点になった。
みるみるうちにその娘は顔を真っ赤にしていく。
「大神くんなら助けてくれるって友達に言われて」
「友達って誰?」
俺には関係ない。
誰だよ、俺なら助けてくれるなんて言ったヤツ。
だいたい、何を助けてほしくて俺を彼氏になんて思うんだよ?
「榊の美羽さん」
「…榊の美羽?」
ああ、榊のとこの娘ね。
榊のとこはまだ中学生なはずだけど。
「妹のとこによく美羽ちゃんが遊びにきてくれてるから」
そういう接点ね。
だからって、俺が彼氏になるってのは違うと思うけど。