『若恋』玲央の初恋【完】


「困ってるみたいだから助けてやりゃよかったじゃんか」

「俺は善人なんかじゃねえし」


玉木が大袈裟にため息をつき俺の腹に拳を一発沈めた。


ボスッ


「っ、てぇな」


顔をしかめると玉木がフンと横を向いた。

鍵谷が俺と玉木を中間で宥める。


「まあまあ、あの娘も行っちゃったことだしさ。今度なんかあったなら、そん時に手を貸してやりゃいいじゃん」

「…ま、そうか」

「………」



ふん。


ゴロリと横になって蒼空を仰ぐ。



女なんてな。
自分勝手ないきものなんだよ。


何が助けてくれだ?

俺に何をしてほしいってんだ?

俺には何にもできることなんかねぇ。

何一つ出来ねぇ。



「俺には関係ねぇ」


誰に言うとはなしに呟いた。



―――俺には関係ねぇ






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