正しい恋の進め方
気安く名前を呼ぶな、
と言ってやろうと振り向くと同時くらいに
彼が言葉を発した。
「案外天然だよね」
「っはあ!?」
言われるなんて思ってもみなかった言葉が私の耳に残る。
天然、?
バカにしてんのか?
「バカにしてんの?」
だけど天然だよね、って言われた時の無邪気な笑顔が、脳にインプットされてしまったかのように焼き付いて離れなくて
結局昨日の繰り返しだ
彼は教室の方へと歩きだし、通りすがるついでに私の肩をぽん、と叩いて
「褒めてるんだよ」
と耳元で囁いてきた。
やっ、
やっぱ嫌いだ、こいつ…
完全に遊ばれてる。
動悸が激しすぎて私はへにゃり、とその場に座り込んでしまったのだった。
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