ナツの夏



「先生、もしかしてバイト先って先生のお家ですか?」


「アハ、ばれた?」




玄関まで入ると、左側に別の出入口のようなものがあった。棚が何列か並んで、品物がビッシリ詰まっているように見えた。『たばこ』の文字も見えた。


先生の実家は個人商店を営んでいるようだ。




「お店側がメインストリートなの。って言ってもこっちと何も変わらないけどね」




先生のお母さんが、さっき皐月が車を止めた方向を指差し、笑う。


確かに通行人も車も自転車も、ほとんど通らない。


畑に一人二人、おばあさんがいるだけだ。


こういう場所でも商売ができるんだなぁと少し感心する。


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