ナツの夏
その日の深夜、カエルの鳴き声に誘われるかのように、私は外に忍び出た。
どうしても、眠れなかったのだ。
見上げれば、満天の星空。プラネタリウムも真っ青の。
お父さんとお母さんに呼び掛けた。
ここにいるよって。
会いに来てって。
「…なっちゃん?」
お父さん?!と思った瞬間、その声の主が皐月だということに気づく。
私は慌てて、身なりを整えた。と言っても、整えようのない格好だったのだけれど。
「どしたの?こんな時間に…」
皐月は車から顔を出して言った。