ナツの夏
「乗って乗って」
「え、は、はい…」
こういう場合、さりげなく断るのが正解なのだろうか。
警戒心が無さすぎる、と言われるかもしれない。
かと言って、皐月を警戒する必要なんてないのだけれど…
「どう?こっちには馴れた?」
「あ、はい」
「あの家、にぎやかだよね」
「あ、はい…」
私はバリエーションのない返事をくりかえした。
やっぱり、ノコノコついてくるんじゃなかった。
皐月だって疲れているだろうし…