ナツの夏
「皐月さんは先生のこと好きですか?」
私は空を仰ぎながら唐突に、さっき自分が受けた質問を投げ返した。
「そりゃあ、ガキの頃から世話んなってるしね。良い姉だと思ってるよ」
私が期待した応えではなかった。でも、なぜかホッとしている。
確かめるように、また聞いた。
「彼女にしたいとは思いませんか?」
イエス、ノー、多分私はどちらも望んでいない。
でも、確かめたかった。皐月の心を、知りたかった。