ナツの夏
皐月はようやくこちらを見て、優しく笑った。
ふんわり包み込むような笑顔は、暗闇を優しく照らす淡い光のようだ。
でも、今はなんだか切ない。
「皐月さん、止めないんですか?」
「止めないよ。瑠璃姉には幸せになって欲しいもん」
「だからって、見ず知らずの男に任せるんですか?」
「相手の男のことはよく知ってる。てゆうか、おばちゃんから聞き出した。すごく面白い人だし頼り甲斐もあるし、瑠璃姉にはピッタリかなと思ったんだ」
そんなふうに、割り切れるものなのだろうか。
自分が幸せにしたいとは思わないのだろうか。