ナツの夏



「それが、大人の対応ってやつなんでしょうか」


「アハハ!俺なんかまだガキだよ。なっちゃんの方がよっぽど…」


「私だったら、そんなふうに身を引くなんて考えられません。だって、もし先生が皐月さんを待っているとしたら?嫌々結婚するのだとしたら?」




今日の私は良くない。すぐに熱くなって…




「…瑠璃姉は嫌々結婚するなんてことないよ。ちゃんと考えられる人だもん。だからこそ、俺は余計なことはしたくないし、ちゃんと幸せになるとこ見届けたいんだ。家族として」




そう言って皐月さんは、私の手を取ってグイと引き上げた。


急に皐月の顔が近づき、私の心臓がトクンと跳ねる。




皐月の目は、やっぱり少し切なくて、だけど揺るがない強さがあった。


その目が、好きだと思った。


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