ナツの夏
先生の間抜けな姿を見ていたら、なぜだか涙が滲んできた。
よくわからない症状だ。
「ナツ、ありがとう。やっぱり、ナツをこっちに連れてきて良かったよ」
「え?」
「ずっと、こうしたかった…でも、ナツを私の人生に巻き込むのが嫌だったんだ。ただ見守っていればいいって…なのに、自分の衝動を押さえられなかったよ。あんたも私も何かが変わるんじゃないかって思ったら」
先生はジーンズを手に取ると、一言一言ゆっくりと、小さなこどもに話すように言った。