ナツの夏



「先生…全然、わかってないよ」


「え?」


「私はもっと」




いや、違う。


わかってないのは自分自身だ。


自分の弱さを認められなかった自分自身だ。


言い訳なんて、無い。


ただ、素直に笑えばいいだけなのに。




「なんだよ、言いかけてやめるなよ」


「いや…な、何でもないです…」




この時の私は、まだこう応えることしか出来なかった。


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