ナツの夏



「昼飯、一緒に食べよう」


「あの」


「キッチン、勝手に使うからね〜」




私が、と言うべきだったのかもしれないが、男の人にご飯を作ったことなんて無かったから言い出せなかった。


私だって、それなりのものを作れるのに…


誰に言い訳するでもないのに、言い出せなかったことにヤキモキした。




しばらくすると、いい香りがしてきた。芳ばしいような、食欲を誘う香り。


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