ナツの夏
「な、何で私を誘うんです?」
私の目が警戒色に変わった。
両親がいないということに、同情の目を向けようものなら、私は許さない。
でも、石井ちゃん先生はニカッと笑ってこう言った。
「べっつに〜!あんたは私と一緒で男に縁が無さそうだから、誘ってやるかな〜と思っただけ」
「男に縁って…私まだ高校生だし」
「なに言ってんの!高校生なんて言ったら一番、彼氏彼女が欲しい時でしょうが!ヤバ…あんた私より重症だわ、自覚がないだけに」
そう言って私の手を取ると、厚紙のような紙片を握らせた。
切符だった。