ナツの夏
赤くなった顔を誤魔化すように、私はそんなことを言っていた。
「そっかぁ…なんか嬉しいね!」
皐月がクシャッと笑った。
本当にこの人は嬉しそうに笑う。
見ているだけで幸せになれるような笑顔。
私にも、いつか出来るようになるのかな。
「皐月さんも、先生も、先生の家族も、みんないい人ですよね」
いい人なんて言葉じゃ言い表せないのだけど、口にするのが照れ臭くて、そんな安っぽい言葉を選んでしまった。