ナツの夏
どれほどの沈黙があったのだろう。
一瞬だったような、長い時間が経ったような…
皐月の柔らかな笑顔が、私の意識を甦らせた。
「"いい人"なんて、んな他人行儀な言い方するなよ…俺たちはただ、なっちゃんが大切なだけなんだから」
独りぼっち…
それを恨んだりはしなかった。怖くもなかった。
それなのに、なぜかな。
今の私は、なぜこんなにも…
「……私…自分の名前が…ナツって名前が…大好きなんだよ」
言いながら、ぼろぼろと涙がこぼれた。