ブルースカイ
バスから電車を乗り継いで、


久々の都会に出ると、



人の多さに圧倒される・・



「はぐれんなよ。」



青信号に一斉に動き出す人の波に



ついていけない私の手を



翼はずっとにぎりしめていた。



翼のそのまま少し歩いて



交差点近くの大きな美容室に入っていく。



「いらっしゃいませ。」



「予約してた沢山です。」



「お待ちしてました。こちらにどうぞ。」




受付から中に続く廊下を抜けると



落ち着いた感じのサロン―。



天井に輝く大きなシャンデリアが



高級感を醸し出していた。




「沢山さん、お待ちしてました。

今日はカットとカラーで承ってますけど

前のカットは気に入られませんでしたか?」




そこで待ってたおしゃれで綺麗な女の人が


翼に近づく――。


その人の持つ洗練された


空気はどこか翼に似ていて



ドキって・・


少し胸が痛くなった。






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