ブルースカイ
美香さんはいつの間にか、優しい顔になっている。




「翼、あなた、知ってて美緒を連れてきたの?」




「・・・」



立ちすくんだまま、何も言えない翼。






知ってたはずがナイ―――



あれほど、激しく愛し合って



未来までを約束した私たちが



血のつながった兄妹だったなんて・・・





「知らなかったみたいね・・

ならすごい偶然じゃない!?これは運命だわ・・」




・・運命!?・・






「美緒、あなた、覚えてない?一度、小さい頃、この家に遊びに来たことがあったのよ。翼と一緒に、横の小川で遊んでね・・あなた、こけて、目の上を深くすりむいたの。まだ残ってるわね。その傷が・・」



美香さんが優しく微笑んだ。




・・覚えてる――うっすらと・・


自殺未遂をした翌朝、病院で目覚める前に見た夢のなかで、私はその記憶を思い出したんだ。



翼に出会う前に・・


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